毎日配達の業務を行う中で、やりがいや自分自身の成長を感じる時があります。
これはあるドライバー達の配達中に起きた実際の出来事 です。
苦手だと思っていた営業でノルマを達成した!
軽配送ドライバーといっても、時期によっては営業をしなければいけない時があります。正直に言うと、私は営業が苦手でした。
この会社の営業は、新規のお客様を探すというよりは、既存のお客様に「より多く注文してもらう」「知り合いを紹介してもらう」「季節ものを購入していただく」といったようなものです。
「顔見知りの人ならなんとかなるかな」と思っていたのですが、いざ内容を説明しようとすると、なかなか上手く伝えることができません。もともと営業は得意ではないので、どのように声を掛けたら良いのか分かりません。契約が取れず時間だけが過ぎていきました。
「今日も声がけだけはするか…」と、その日もいつもと同じように、お世辞にも上手いとはいえない営業をしていました。その時、予想外のことが起きます。一人のお客様さまから「あんたが言うなら買うよ」と言って、私の説明はほどほどに「なんだか大変そうだけど頑張ってねぇ」と契約をしてくださったのです。
毎日、真面目に配達をして、お客様の信頼を得ることができたからこその結果だと思いました。営業には、トークスキルだけでなく、このような方法でも通用するのだと学ぶことができました。ちなみに、この一件以来、自信もついた私は、積極的に営業ができるようになり、あっさりとノルマを達成することができました。「お客様から信用してもらえた」「自分の苦手なことを克服できた」、2つのやりがいを同時に感じられた嬉しい瞬間でした。
入社した時よりも効率よく配達ができるようになった
軽配送の仕事は自分で時間を管理する必要があります。ダラダラと配達していれば当然遅くなりますし、休憩時間も取れない。そして家に帰る時間も遅くなります。
入社したての頃は、配達で精一杯だったので「時間が…」「休憩が…」などと考える暇もありませんでしたが、しばらくして慣れてくると「もっと効率よくできるのでは?」と考えるようになりました。
しかし、配達を早くするのは、思ってた以上に難しいことでした。まず車のスピードを上げることはできません。「安全に運ぶ」が、私たちの仕事だからです。事故を起こしてしまった時の原因が「急いでいたから…」というわけにはいかないのです。
そこで、まず試したのが「車を停車させたら、素早くお客様へ商品を届けて急いで戻る」というシンプルな方法ですが、結論からいうと少し効率は上がりましたが、代わりにミスが増えたので、あまり良い方法ではありませんでした。
「毎日定時で帰っている人もいるのになぜだろう?」と疑問に思い、定時で帰っているドライバーに「どうすれば早く配達が終わりますか?」と聞いてみると、このような答えが返ってきました。「積込の時に準備をしっかりと行い、配送中にも荷物の整理をしたりして、常に効率良く配達すれば早く終わるよ」
それまでの私は「早い=急ぐ」という感覚で、ただただ慌てて仕事をしていただけだったのかもしれません。荷物も乱雑に積んであったし、運ぶ時もバタバタしていて周りの人たちから見れば「大変だなぁ」という印象だったと思います。
その話を聞いた次の日、早速積込の時から計画を立てて、できる限り2度手間にならないような荷物の積込を意識しました。そして、その日は以前のように急いでもいないのに、30分も早く終わらせることができたのです。さらにルートの見直しも行ったところ、以前より1時間も早く終わることができたのです!
今では仕事が終わったあとの予定を立てることもできるようになり、プライベートと仕事を上手く両立できるようになりました。
お客様の要望に応えることができた!
軽配送は時に「時間指定」という難しい問題に直面することがあります。理由は様々で「出掛けたいから早く来てほしい」「ポスト投函は困る」「帰宅時間が遅い」など。こちらとしても、可能な限り対応をしてあげたいのですが、他の大勢のお客様に影響を及ぼしてしまう場合など、対応が難しいこともあります。
配達中に、お客様から「次回の配達から時間を指定したい」このようなことを言われることもよくあるので、いつもやんわりと断っていました。しかし、その日は数人のお客様に半ば強引に「時間指定」を約束させられてしまったのです。
なんとか空き時間に行けないかと、配送コースの見直しをしてみましたが、その時間に行こうとすると配送コースがぐちゃぐちゃになって配達自体ができなくなってしまうような最悪の状況でした。
上司が「代わりに行こうか?」と助け船を出してくれましたが、「私が引き受けてしまったので」と言って断りました。冷静に考えれば無理をする必要はありません。しかし、どうしても今回は自分の力で乗り越えたかったのです。
結局、当日は早めに出庫して時間を調整したり、休憩時間を削って配達したりすることで、なんとか配達を終わらせることができました。配達するまでは「時間指定」をしてきた人たちのことを「自分勝手な人だ」と思っていましたが、指定された時間にお届けした時に、「ほんとうにありがとう!わがまま言ってごめんなさいね。どうしてもこの時間じゃなきゃダメだったの」と言われ、モヤモヤしていた気持ちは無くなり、大変だったけど無事に配達できてよかったなと思いました。
時間に余裕が無くなると事故やミスの原因にもなるので、今も時間指定はできるだけ断っています。しかし、その1件以来、どうしてもと言われた時は、無理のない範囲でお客様の要望を聞くようにしています。だってとても喜んでくれるから。